ひと昔前と比べ、公務員を中途採用で受け入れる企業は増えてきており、実際転職する人も増えています。
一方で、転職活動では業務経験の有無を厳しく問われることに変わりはなく、公務員が転職できるポジションが限定的であることも確かです。
それでは、公務員の業務経験が生きやすかったり、公務員を受け入れてくれやすい業種や職種はどのようなものでしょうか。
まず、公益性が高く、安定的な事業運営が求められる業界は、具体的な事業内容や業務内容にもよりますが、公務員との共通性が高く、比較的転職がしやすい業界と言えます。
具体的には、金融、インフラ、運輸、教育などの業界が挙げられます。また、数は多くありませんが、公益法人や学校法人なども公益性の高さから公務員との親和性が高いと言えます。
次に、職種として見ると、組織全体のルールをつくったり、管理を行ったりといった部分の共通性から総務部門への転職は比較的多いと言えます。
意外なところでは、コンサルティング会社やシンクタンクは公務員からの転職が比較的多い業界でした。
これは、コンサルティング業界自体が積極採用を行って拡大してきたことが背景にあります。
その上で、個別具体の業務経験よりは調査分析能力やペーパーの作成能力が求められ、また、ハードワークを厭わない文化が公務員と親和性が高かったことが理由として挙げられます。
昨今、コンサルティング業界の拡大フェーズは終焉しつつあり、かつてほど、未経験者の受け入れに積極的ではなくなっていますが、それでも有力な転職先として挙げてよいかと思います。
また、気づいていない方も多く意外に思うかもれれませんが、公務員は福祉から教育、土木から医療といったように分野を超えて大きく異動する上に異動の回数も多いことから、ゼロからのキャッチアップ力が非常に強いと言えます。
この点を生かして、ベンチャー企業への転職も向いています。
ベンチャー企業の多くは人手不足に悩んでいることもあり、上記のようなキャッチアップ力をアピールできれば、可能性は十分あります。
ベンチャー企業への転職はかなり大きな転身となりますので、勇気がいると思いますが、組織が出来上がっていないからこそ、出来上がった組織でのノウハウを役立てることができます。
バリバリと働きたい方にとっては、魅力的な選択肢になると思います。
以上は一般論として転職しやすい業種・職種になりますが、当然ながら個人の職務経験によって転職しやすい業種・職種は異なりますので、まずは自分の職務経験の棚卸しをして、それらを要素分解し、同じような業務を行っている民間企業を探してください。
その際、あなたが業務の中で日々接していた民間企業の担当者のポジションを希望するとしたら非常に狙いやすいです。
例えば、許認可業務を担当していた場合、許認可を出していた先の企業と同業界の企業などが挙げられます。
企業側にとってみると、どのような基準で許認可を出しているのかを知っているため、非常に価値が高い人材に映ります。
また、転職者にとっても、元々やっていた業務なので、転職後もフィットしやすく機能しやすいという点で非常に良い選択と言えます。
もっとも、それではこれまでと変わらないのではと思われる方もいらっしゃると思います。
この点、まずはしっかりと足場を固めて、その後の異動や転職で別の業務に移ることも考えられます。